表から裏から描いてみた!
芳年「藤原保昌月下弄笛図(ふじわらのやすまさげっかろうてきず)」
大好きな絵を見られて感動しました。雰囲気が良い。映画みたい。
平安時代の貴族・藤原保昌が秋の夜に笛を吹きつつ歩んでゆくのを、盗賊が背後から襲おうとするけれど中々手が出せない状態にいる様を描いた絵です。
この作品は撮影可でした。
『藤原保昌月下弄笛図(ふじわらのやすまさげっかろうてきず)』
芳年 大判錦絵 明治16年(1883年)※展覧会展示品の所蔵は北九州市立美術館
後年描かれた「月」をテーマとしたシリーズ『月百姿』に、保昌に迫る盗賊の背後からの構図の絵がありますね。セルフオマージュでしょうか。
『月百姿 原野月 保昌』
芳年 大判錦絵 明治21年(1888年)(この図版の出典:国立国会図書館)
まだまだあるよ!芳年vs芳幾による血みどろ×鮮やかな幕末明治浮世絵
そういや、この記事の冒頭で「血みどろ×鮮やかな幕末明治浮世絵」とか言っておきながら、このレポートでは、それっぽいものが意外に紹介されていないような……。
そうだったかな?実際の展示では「英名二十八衆句」のうちの16枚がずらっと並んでるから、もうそれだけで血みどろは大満足って感じだけど……。
もちろんそれ以外にも、見てほしいものがたくさんあるから、もう少し紹介しましょうか。
『東京日々新聞 九百五十一号』
芳幾 大判錦絵(この図版の出典:国立国会図書館 合成は藤城洋次による)※展覧会展示品の所蔵は毎日新聞社新屋文庫
明治5年(1872年)に東京初の日刊紙として誕生した「東京日日新聞」の錦絵版、ですね。芳幾が担当したという。
報道というより、ドロドロした事件、面白おかしい事件寄りにチョイスしたものだったみたいだね。
あとは同じく明治期の浮世絵で、美人×東京名所紹介な作品などを……。
『東京自慢十二ヶ月 二月 梅やしき 新橋 てい』
芳年 大判錦絵 明治13年(1880年)(この図版の出典:国立国会図書館)※展覧会展示品の所蔵は北九州市立美術館
『東京自慢十二ヶ月 七月 廓の燈篭 仲之街 小とみ』
芳年 大判錦絵 明治13年(1880年)(この図版の出典:国立国会図書館)※展覧会展示品の所蔵は北九州市立美術館
あれ……?
どうしました?
上の2つの図版、国会図書館の引用なんだけれど、
展覧会で見たものとなんか印象が違うな……。
あっ、展覧会の図録を見ると、展示してあったバージョンは、もっと口紅とか花とか赤色の部分が鮮やかで、アイラインもくっきりしてるみたい。
7月の絵とか、夜空の青ももっと下の方まで色がある。
いつ刷られたものかによってなのか、結構印象が違うんですかねえ。
これ、絶対本物見たほうがいいです。
今回展示されていたバージョンは、色がすごくビビッドで、いかにも明治期の浮世絵!な雰囲気がとても良かったので!
次のページからは……
まとめ、そして、これから行く人に絶対伝えたいこと